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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
妊娠・分娩(6)
緊急帝王切開後,単純子宮全摘術施行しDICより早期に離脱できた常位胎盤早期剥離の一例


村上 浩雄, 平井 久也, 横山 普子, 鈴木 一有, 篠原 弘光
藤枝市立総合病院産婦人科


 【緒言】常位胎盤早期剥離で,既にIUFDとなっている症例では,DICの管理をしつつ経膣分娩をrecommendするとの意見もあるが,臨床の場においては帝王切開が選択されることも多い様である.又,待機した場合DICの原因が速やかに取り除かれないため,分娩後の回復が遅くなることも考えられ治療方針に迷うこともある.今回,常位胎盤早期剥離,IUFDのため緊急帝王切開術となり,子宮の収縮,止血が不良のため引き続き単純子宮全摘術を要した症例を経験したので報告する.【症例】33歳,2経妊2経産.妊娠経過は順調であった.妊娠39週2日,突然の多量出血を認めたため前医受診.常位胎盤早期剥離,IUFDと診断され当院に緊急母体搬送となった.入院時,意識清明,血圧108/66mmHg,脈拍88/min,顔面蒼白で持続する性器出血を認めた.超音波断層法で胎盤後血腫あり,児心拍消失.持続出血多く血圧低下傾向みられたため,緊急帝王切開術を施行した.児娩出後,血腫は筋層内・広間膜に及び,子宮は虚血性変化を伴い脆弱で収縮剤に反応せず,漿膜からも血液が浸潤し腹腔内へと持続的に流出していた.止血不能と判断,やむなく単純子宮全摘術を行った.抗DIC治療を行い,術後1日目にはDICより離脱,その後の経過順調で術後13日目に退院となった.【結語】IUFDを伴った常位胎盤早期剥離に対し,帝王切開または経膣分娩の選択は議論の分かれるところである.また,開腹所見において重症であった場合,子宮摘出を行うことで重篤な合併症を回避しえたり,早期DIC離脱を期待できる.症例を検討の上,文献的考察を加えたい.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 365-365, 2003


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