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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
妊娠・分娩(6)
常位胎盤早期剥離症例の検討


朴 正順, 川瀬 史愛, 藤原 佳子, 新垣 総子, 萩原 憲治, 丸 宏昭
船橋二和病院産婦人科


 常位胎盤早期剥離(早剥)は,死産や母体DIC等を発症し得る重篤な疾患であるが,その病態は依然不明な点が多く,予知も困難とされている.今回我々は過去7年間に当院で経験した早剥症例について,その症状と診断を中心に検討した.総分娩数4643例中,帝王切開にて早剥と診断したのは15例(0.32%)あり,経膣分娩後に診断された例は今回対象としなかった.母体背景は初産9例,経産6例で,中毒症の合併は4例(26.7%)であった.分娩週数は31週1例,35週2例,36週5例と早産が半数以上を占め,40週以上の症例はなかった.初発症状は持続的な腹緊,出血などが多かったが,背部痛,腰痛,下痢,嘔吐など典型的ではない症例もあった.経過中全く出血を認めない症例が5例(33.3%)あり,これらの症例では死産3例,重症仮死1例(のちにCP)と,出血のあった他の10例が全例健児を得ているのに比し,明らかに児の予後が悪かった.胎児心拍モニターはVariable decelerationやContinuous bradycardiaを示す例が多かったが,異常を認めないものも4例存在した.エコー所見であるが,胎盤の後血腫を認めたものが6例,肥厚像のみが5例,辺縁の剥離像のみが1例,胎盤辺縁の血腫像のみが1例,2例は明らかな異常を指摘できなかった.発症から児娩出までの時間は1時間10分から8時間50分までと幅広く,4時間以上かかかった例で児の予後が悪い傾向にあった.4例が母体DICを発症(26.7%),うち1例はMOFにて死亡した.早剥は典型的ではない症状を呈するものや,エコー,胎児心拍に明らかな異常を認めない例もあり,常に本症を念頭に置いた妊婦管理が重要であると考える.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 366-366, 2003


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