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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
妊娠・分娩(7) 国立成育医療センター開設1年の成績
山下 裕子, 久保 隆彦, 渡辺 紀子, 櫻井 美樹, 山本 阿紀子, 鈴木 泉, 塚原 優己, 林 聡, 左合 治彦, 北川 道弘, 名取 道也
国立成育医療センター周産期診療部
【目的】当センターは胎児から小児,思春期を経て再び出産に至るリプロダクションサイクルを対象とした総合的継続医療を行うために,昨年3月に開設されたナショナルセンターである.周産期診療部には,産科,不妊・不育科,胎児診療科,母性内科,新生児科を包含し,ハイリスク母児だけでなく,「健やか親子21」の安全で快適なお産を実現するためにローリスク妊娠も受け入れている.【対象】2002年3月-12月に分娩した838例(双胎30例 品胎3例)の予後について検討した.【目的】838例の母体年齢構成は19歳以下(3例),20-24歳(32例),25-29歳(210例),30-34歳(364例),35歳以上(229例)であった.帝王切開率は238/838(28.4%)であり,妊産婦死亡は認めなかった.22週未満の死産が17例,22週以降の死産が10例(形態異常6例)であり,22週以降の生産は811例であった.現在,全例出産後6ヶ月以上経過しているが現時点での生命予後は22-23週:0/2(0%),24-27週:18/18(100.0%),28-31週:26/27(96.3%),32-36週:81/82(98.8%),37-41週:675/680(99.7%),42週以降:2/2(100.0%)であった.出生体重500g-999gの超低出生体重児の生存率は16/17(94.1%)であり,499g以下でも2/4(50%)の生存率であった.【結論】合併症妊娠,胎児形態異常を含む母集団を管理してきたが,チーム医療により良好な新生児予後を得ている.今後は児の長期予後を評価する必要があるが,児の良好な発育を目標におき,妊娠前から母児を包括的に管理する成育医療の視点が,周産期医療の成績向上に貢献すると考える.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
369-369, 2003
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