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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
胎児・新生児(1)
出生前診断し得た胎児腹部充実性腫瘍(congenital mesoblastic nephroma)の一例


高橋 寿々代, 桑田 知之, 渡辺 尚, 泉 章夫, 高山 剛, 平塚 光広, 鈴木 寛正, 松原 茂樹, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科


 妊婦健診で胎児腹部腫瘤を認めることがある.その多くは嚢胞性であり,充実性腫瘤は肝や腎,子宮に稀に認めるのみである.今回,胎児腹部充実性腫瘍を発見,精査にて腎のmesoblastic nephromaと出生前診断し得た症例を経験した.本疾患の出生前診断は臨床的に極めて重要である.症例:母は23歳,0経産.妊娠経過に異常なし.妊娠37週,羊水過多と胎児腹部腫瘍疑いで当院紹介入院した.【超音波所見】腫瘍は充実性,長径66mmの球形で,右腎の下方に存在.右腎とは連続性を有し,軽度の腎盂拡大を認めた.本腫瘍の内部Echoは均一で,またring sign(腫瘍の周囲が低輝度Echo)を認め,腫瘍内血流は豊富であった.対側腎,膀胱形態は正常であった.AFI=25.8cmと羊水量の増加を認めたが,消化管閉鎖を疑う所見はなかった.以上より右腎原発の充実性腫瘍(mesoblastic nephroma)と出生前診断した.分娩誘発の後,経膣分娩した.出生後に腫瘍摘出術を行い,病理学的にmesoblastic nephromaと確認された.mesoblastic nephromaは主に乳児期早期に発見される腎腫瘍で,1歳以下の腎腫瘍の25%以上を占めると報告されているが,本疾患の出生前診断の報告は極めて少ない.本疾患では妊娠中に羊水過多を伴っているが,これは胎児の多尿に起因すると推測されている.Willms腫瘍や副腎腫瘍との鑑別が必要である.腫瘍内部血流が豊富な場合,循環血液量が増加し心不全,胎児水腫に進行する場合があり,また生後3ヶ月以内に診断され腫瘍摘出を受けた場合には再発の危険が少ないとされ,出生前診断の意義はきわめて大きい.産科医は胎児腹部超音波検査の際には,嚢胞性病変のみならず充実性病変にも十分留意する必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 371-371, 2003


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