|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
胎児・新生児(1) 当院で経験した単一臍帯動脈症例の臨床的検討
依藤 崇志, 薪田 も恵, 山田 美恵, 田嶋 敦, 伊藤 茂, 仁科 秀則, 中村 靖, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
目的:単一臍帯動脈は全妊婦の0.3%〜1%に認められ,染色体異常や子宮内胎児発育遅延(IUGR)を伴うことが多い臍帯異常である.今回我々は,当院で経験した単一臍帯動脈12症例について臨床的に検討した.方法:1998年1月より2003年6月までの間に分娩した新生児3179件中で単一臍帯動脈を認めた12症例(0.37%)を対象とし,IUGR,胎児異常,染色体異常の有無,周産期予後について検討した.結果:12例中11例(92%)は出生前に超音波検査で診断された.12例中7例(58%)に胎児奇形を認めた.胎児奇形のない5例中,IUGRを認めたものは2例(16%)であった.胎児奇形の内訳は,先天性横隔膜ヘルニア,臍帯ヘルニア,多嚢胞性異形成腎,胎児水腫がそれぞれ1例ずつと,多発奇形3例であった.染色体異常は2例(16%)あり,先天性横隔膜ヘルニア(由来不明の付加染色体)と,胎児水腫(9番の腕間逆位)であった.周産期死亡となった例は7例(58%)で,1例は31週で子宮内胎児死亡となり,残りの6例は早期新生児死亡例であった.死亡原因は全例が奇形と考えられた.結論:今回の検討でも,単一臍帯動脈症例は胎児奇形との関連が強いことが認められた.予後不良の原因は合併奇形との関連が強く,単一臍帯動脈のみによるものとは思われなかった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
371-371, 2003
|