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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
胎児・新生児(1) Rhizomelic Chondrodysplasia Punctata(肢根型点状軟骨異形成症)の一例
太田 啓明, 加藤 隆, 永井 宣久, 久野 宗一郎, 宮川 康司, 正岡 直樹, 栃木 明人, 山本 樹生
日本大学産婦人科板橋病院総合周産期センター
先天性の四肢短縮症は妊娠の比較的早期から超音波で診断が可能である.しかし四肢短縮所見のみでは正確な診断は難しい.我々は比較的稀なRhizomelic Chondrodysplasia Punctata(RCP:肢根型点状軟骨異形成症)を経験したので先天性四肢短縮症の鑑別診断と治療方針の決定を含めて報告する.【症例】34歳0回経妊0回経産.他院でIVF-ETにより妊娠.妊娠22週に超音波で四肢短縮が認められ,羊水染色体検査では46XYであった.先天性四肢短縮症の場合,致死的や否が重要であるが本症例では出生前に致死性とは診断できなかった.このため非致死性と考え,34週に陣痛発来したため,帝王切開で2078g男児をApgar score 7点で分娩した.児は四肢近位端の短縮および鞍鼻が認められ,X線では点状骨化像が認められRCPと診断した.【考察】先天的四肢短縮症には複数の遺伝子型があるが,予後に著しい差異があり正確な診断が要求される.すなわち発見された妊娠の時期,四肢短縮の程度,他の合併症の有無などを総合的に判断し,その後の対応を決定する必要がある.我々が経験したRCPはPEX7遺伝子にコードされるペルオキシソームの酵素欠損により生じる常染色体劣性遺伝疾患であり,1年以内に死亡することが多い.超音波診断や発症時期のみでは正確な診断は難しいため遺伝子診断の必要性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
373-373, 2003
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