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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
胎児・新生児(2)
胎児心臓腫瘍の2例


折戸 征也, 松田 義雄, 新井 理水, 高田 由美子, 岡野 浩哉, 橋口 和生, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科


 出生前には診断しえなかった胎児形態異常が,超音波診断装置の発達により診断可能となる症例が増えている.胎児心臓腫瘍もその一つで,児の長期予後に影響する結節性硬化症の合併など,周産期管理に苦慮する場合がある.我々が経験した2症例を通じて,本疾患の抱えている問題点を明らかにしたい.
【症例1】28歳.0経妊0経産.妊娠36週,胎児不整脈と胎児心奇形が疑われ,当科紹介.精査上,左心室(内外流出路・心尖部各1個)・右心室(心尖部1個)に腫瘍を認めたが,心不全症状と脳内の石灰化は認めなかった.妊娠40週3日で経腟分娩に至り,児は3662g,APGAR Score 9/9.エコー上左室流出路に腫瘍(7×8mm)を認め大動脈狭窄症の状態で,上室性期外収縮を認めたが,心機能自体は問題なかった.頭部画像所見で脳室上衣下と皮質に結節を認め,結節性硬化症と診断した.1歳3ヵ月時の心機能評価では,出生時と比較して腫瘍の大きさは不変であった.出生後1年6ヵ月経過した現在,血栓形成防止のためアスピリンと抗痙攣薬を内服中で,発達の遅れは認められてない.
 【症例2】23歳0経妊0経産.妊娠28週2日,前医にて心室内腫瘤を指摘され,精査目的で当科入院.心臓横紋筋腫が疑われ,全身性の皮下浮腫と胸水貯留を認め,心不全が疑われた.31週2日子宮内胎児死亡となり,31週5日死産.病理解剖所見では心室中隔に腫瘍(3.5×2×3cm)と左室流出路にこぶ状に突出する腫瘍(5mm)を認めた.病理組織診断にて横紋筋腫と診断された.外表皮膚所見・脳外表所見等からは結節性硬化症を疑わせる所見は認められなかった.
【結論】心臓内腫瘍の発生部位により,児の予後は均一ではなく,詳細な所見の把握が必要と思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 374-374, 2003


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