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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
胎児・新生児(2)
右横隔膜ヘルニアを出生前より管理し,良好な経過をたどった1例


小林 奈央, 村越 毅, 沼田 雅裕, 上田 敏子, 成瀬 寛夫, 鳥居 裕一
聖隷浜松病院産婦人科


 横隔膜ヘルニアは2000〜4000人に1人と頻度の高い疾患であり,出生後早期から重症の呼吸不全が見られる.今回,我々は比較的予後不良と言われている右横隔膜ヘルニアを出生前から管理し,出生後良好な経過をたどった症例を経験したので報告する.症例は33歳,初産婦.胎児の右腹腔内に5mm大の嚢胞が認められたため,11w4d,当科紹介.嚢胞は右肺と肝臓の間に存在し,この時点では肺および肝の圧排所見はなく,確定診断はつかなかった.その後嚢胞は5mm大のままで23wに消失した.この時点で心臓が左側に偏位し,右胸腔下方に腫瘤が認められた.CCAM,右横隔膜ヘルニア,横隔膜弛緩症,肺分画症などを疑い精査.31w2d,超音波にて右腹腔内腫瘤に肝静脈を認めたため右横隔膜ヘルニアと診断した.MRIでも右胸腔内に肝臓と思われる腫瘤が入りこみ,心臓は左側に偏位.右肺は頭側に構造を認めた.bil PA/DAo=1.2. 36w0d,MRIでは肺容量は両側ともほとんどなかったが,超音波上,LHR=2.9,bil PA/DAo=1.3であり,人工呼吸器は必要だが,NO,ECMOまでは必要ないと考えられた.妊娠中毒症の増悪のため,38w2d,帝王切開にて女児娩出.2822g,Apgar score8/8.児は出生前診断どおりの右横隔膜ヘルニアであり,1生日に根治術を施行し,6生日で抜管した.右横隔膜ヘルニアにおいても肺低形成の評価にLHR,bil PA/DAoが有用であった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 375-375, 2003


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