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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
胎児・新生児(2) 腹壁破裂に消化管破裂を合併した一例
小暮 佳代子, 岡田 俊則, 定方 久延, 井上 京子, 亀田 高志, 篠崎 博光, 高木 剛, 峯岸 敬
群馬大学産婦人科
腹壁破裂は臍帯付着部辺縁の腹壁全層が欠損し腹腔内臓器が羊水中に脱出した状態であり,出生1000〜15000例に約1例発生する胎児・新生児の腹壁異常の代表的な疾患である.臍帯ヘルニアと比べその他の合併奇形の頻度は少ないとされるが,腸回転異常・腸管閉鎖/狭窄・腸捻転等の消化管異常が約20〜40%に認められる.今回我々は腹壁破裂により羊水中に脱出した小腸の一部に消化管破裂を併発した症例を経験したのでここに報告する.症例は20歳の喫煙歴を有する初産婦で,前医での胎児超音波検査にて妊娠18週に胎児腹壁破裂の診断を受けた.妊娠26週より腸管の蠕動運動低下を認め妊娠31週に当科紹介となった.当科初診時羊水中に脱出した消化管の拡張を認めたが羊水過多症は認めなかった.妊娠33週拡張腸管が縮小し始め,それに伴って妊娠35週には羊水過多症及び羊水エコー輝度の増強が出現した.以上経過より腹壁の破裂部位より脱出した消化管に閉鎖もしくは閉塞が合併し,その口側において消化管破裂が続発したものと判断した.胎児消化管へのダメージを最小限に留めるため早期に分娩とすることが必要と考え,妊娠36週選択的帝王切開術を施行した.新生児は出生体重1660gのIUGR児で,正位置にある臍輪の右側において腹壁の欠損を認めた.脱出内臓は胃と小腸で,小腸の一部が離断しておりその周辺は約5cmにわたって壊死に陥っていた.消化管異常以外の合併奇形は存在しなかった.0生日に初回手術を行ない,小腸壊死部を切断した後,端々吻合は行なわず人工肛門造設術を実施した.脱出していた腹腔内臓器は一期的に還納した.術後1週間ほどより経口栄養開始となり,現在根治手術に向けてgrowth care中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
376-376, 2003
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