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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
胎児・新生児(3) 出生前に診断された11,22部分トリソミーの一例
今村 庸子, 望月 純子, 金井 雄二, 天野 完, 西島 正博
北里大学産婦人科
[背景]胎児にマーカー染色体を認めた場合,予後の予測に苦慮する場合が多い.母親が均衡型転座保因者で,出生前に児のマーカー染色体が特定できた11,22部分トリソミーの症例を経験したので報告する.[症例]症例は1経妊1経産婦で,26週0日に胎児胸水,腹水を認め当院へ紹介受診となった.肺の圧迫解除のため右胸腔を穿刺し胸水21mlを除去したが,再度貯留した.超音波検査で,脳室拡大と大槽の拡大,左横隔膜欠損,前腕と下肢の短縮を認め,児の染色体異常が疑われたため両親のインフォームド・コンセントを得て,27週0日臍帯穿刺による染色体検査を行った.染色体所見:児の染色体は,47,XX,+marであり,両親の染色体検査を行ったところ,母親が46,XX,t(11;22)(q23.3;q11.2)と均衡型転座保因者であった.児のマーカー染色体は,der(11;22)で,11,22番染色体の部分トリソミーと診断した.経過:30週1日経膣分娩で1093gの女児を検出した.アプガースコア1/5分値は1/1点,臍帯動脈血pHは7.280であったが呼吸障害のため49分後死亡した.理学所見:児は,短頚,小顎,頚部肥厚,耳介低位,眼裂狭小を認めた.病理解剖の所見では,小脳低形成,左横隔膜欠損,左肺不分葉,左嚢胞様腎,膵臓低形成を認めた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
377-377, 2003
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