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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
胎児・新生児(3) 羊水染色体分析6301例の検討
沼尾 彰子1), 望月 純子1), 金井 雄二1), 右島 富士男1), 池田 泰裕1), 安藤 宏美1), 天野 完1), 西島 正博1), 前田 徹2)
北里大学産婦人科1), 北里大学看護学部看護学科2)
[目的]出生前の羊水染色体検査の動向について検討する.[方法]1976年以降,in situ法を用いて羊水細胞を培養しG分染法で染色体検査を行い,分析可能であった6301例の後方視的検討.検査前にインフォームド・コンセントを行った.[結果]検査理由は母体高年齢(35歳以上)が75%,ダウン症児分娩既往が5.3%,他の染色体異常児分娩既往が1.7%,両親のいずれかが転座保因者である場合が1%で,近年は母体血清マーカーテストの結果や超音波異常所見から検査を希望する例が増加している.年度別の検査数は1980年代に急速に増加し,1991年は450件を超えたが,その後は徐々に減少して2000年には年間200件を下回った.検査理由別の異常出現率(均衡型転座や9番以外の逆位を含む)は,両親の一方が転座保因者の場合は55%,超音波異常所見から検査を行った例では25%と高率で,母体血清マーカーテストの結果では4.3%,ダウン症児分娩既往では3.3%,ダウン症以外の染色体異常児分娩既往では1.8%,母体高年齢では2.8%であった.同一施行者による羊水穿刺1042例の検討では,2例(0.2%)に子宮収縮,7例(0.7%)に破水を認め,2例(0.2%)が羊水穿刺後2週間以内に流産となった.2例(0.2%)が子宮内胎児死亡となったが,いずれも羊水穿刺後4週間以降であり検査との関連は認めなかった.[考察]妊娠中期前半の羊水細胞による染色体分析例は,減少傾向にあるが,母体血清マーカーの結果や超音波所見による検査例は増加している.羊水分析による出生前診断は,羊水穿刺に伴うリスクについて十分説明した上で慎重に対応する必要がある.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
378-378, 2003
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