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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
胎児・新生児(4) 胎児胸腔―羊水腔シャント術が有効であった非免疫性胎児水腫の2症例
木下 二宣, 山本 智子, 斉藤 正博, 馬場 一憲, 竹田 省
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター産婦人科
【はじめに】非免疫性胎児水腫は胎児水腫の90%以上と考えられ,胎児胸腔内疾患はその原因の一つと考えられている.今回我々は胎児胸壁過誤種,肺分画症により非免疫性胎児水腫を認めた症例に対し胎児胸腔―羊水腔シャント術を施行し,妊娠期間の延長,胎児水腫の改善が可能であった2症例を経験したので報告する.【症例1】32歳,0回経妊0回経産.自然妊娠.27週頃まで特に異常を認めずに経過した.29週6日,胎児胸腹水,浮腫を認め当院紹介初診となった.胎児水腫,胸腔内腫瘍を認め,30週4日,胎児胸腔―羊水腔シャント術を施行した.33週1日,NSTにてloss of variabilityを認め胎児ジストレスの診断にて緊急帝王切開術施行となった.出生児体重2056g,Apgar score 6/8.出生後腫瘍切除術を施行し病理診断にて過誤種であった.【症例2】31歳,0回経妊0回経産.自然妊娠.24週頃まで特に異常を認めずに経過した.27週5日,胎児胸腹水,浮腫を認め当院紹介初診となった.胎児水腫,肺分画症を認め,同日入院,28週4日,胎児胸腔―羊水腔シャント術を施行した.その後健常肺拡張,胎児浮腫,腹水改善認めるも,羊水過多認められ羊水穿刺を施行した.37週2日,選択的帝王切開術施行となった.出生児体重2914g,Apgar score 5/7.出生後分画肺切除術を施行した.【まとめ】胸腔内腫瘍,肺分画症などの胸腔内圧の上昇に伴う,うっ血性胎児水腫では,胎児胸腔―羊水腔シャント術は児の予後改善に有用であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
380-380, 2003
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