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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
奨励賞候補(2) CA125の軽度上昇による,再発卵巣癌の化学療法早期再開に関する検討
斉藤 恵子, 高野 政志, 岡本 三四郎, 佐々木 直樹, 藤井 和之, 工藤 一弥, 喜多 恒和, 菊池 義公
防衛医科大学校産婦人科
<目的>再発卵巣癌の予後改善を目的として,化学療法再開時期を検討した.<対象・方法>1992年から2001年に治療を開始した症例で,前治療に対し寛解を得た後,CA125の上昇のみで再発と判定し化学療法を再開した24症例(マーカー群)および画像診断で再発を確認後に治療を行った25症例(対照群)を対象とした.マーカー群の組織型はserous 20例,endometrioid 3例,clear 1例で対照群はそれぞれ15例,3例,5例でさらにmucinousが2例含まれた.マーカー群の奏効度の判定法は,各患者のbaseline値までの低下をCR,再発時の値の1/2以下までの低下をPR,1/2まで下降しないものをSD,下降しない場合はPDとした.<結果>マーカー群の再発診断時のCA125値は54.5U/ml(中央値),奏効率は54.2%であった.対照群のうち,再発時の治療として化学療法のみしか行えなかった15症例の奏効率は33.3%であった.マーカー群でCA125値がcut off値未満で再発と判定した症例は6例でその奏効率は66.7%でありPD症例は認めなかった.さらにマーカー群は,対照群で化学療法のみを施行した群に比してProgression free survivalが良好(p=0.0264)であった.<結語>CA125値は,cut off値以下であっても各症例のbaseline値を基準として早期に再発と判断し治療を再開することで良好な奏効率が期待できる.また再発時に外科的切除が困難な症例では予後が不良と考えられるため,CA125の上昇のみで治療を再開することで予後が改善される可能性が示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
388-388, 2003
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