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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
奨励賞候補(4) 軽度耐糖能異常妊婦における周産期予後
高島 明子, 枡谷 法生, 横山 安哉美, 深谷 曉, 三宅 潔, 矢野 ともね, 大高 究, 木下 俊彦, 伊藤 元博
東邦大学付属佐倉病院産婦人科
(目的)妊婦に糖負荷試験を行った場合に,日本産婦人科学会の妊娠糖尿病(GDM)診断基準の1点のみ異常を示す例を経験する.これらに対しては周産期予後が明らかではなく,対応が定かではない.当院においてはGDM診断基準の1点のみ陽性例に対しては妊娠中の血糖管理は行っていない.そこでこれらの周産期予後について,75g糖負荷試験(OGTT)で全て正常であった例との間に違いがあるかを知ることを目的とした.(方法)当科で75gOGTTを妊娠18〜22週に受け正期産であった症例のうち,正常耐糖能(229例)をA群,1項目のみ陽性であった38例をB群,GDM(23例)をC群とした.C群では食事療法ないしはインスリン療法を行った.B群では治療的介入は行わなかった.母体に関しては年令,妊娠前BMI,妊娠中毒症合併率を,児に関しては出生体重,巨大児(出生体重が4000g以上),heavy-for-date(HFD,出生体重が90パーセンタイル以上),低血糖,高ビリルビン血症,多血症,呼吸障害,新生児仮死の頻度について検討した.(結果)母体年令,妊娠前BMI,妊娠中毒症合併率,平均出生児体重については有意差(p<0.05)を認めなかった.A群に比べ,C群では巨大児並びにHFD児の頻度が高かったが,B群ではいずれも有意差はみられなかった.新生児低血糖,高ビリルビン血症,呼吸障害,仮死に関しても,A群とB群に有意差は認めなかった.(結論)妊娠20週前後で診断した軽度耐糖能異常妊婦に対して積極的な血糖管理を行わなかった場合,巨大児やHFD児の頻度,その他の周産期合併症に正常耐糖能妊婦と有意差を認めなかった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
393-393, 2003
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