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<< 学会誌へ戻る HELLP症候群，子癇の初発症状として上腹部痛があるが，臭化ブチルスコポラミン（以下SB）を投与されることで，副交感神経を抑制し，結果的に交感神経刺激から発症する症例を経験している．過去5年間のHELLP症候群，子癇症例の中で，副交感神経遮断系薬の使用によって誘発されたと考えられた症例について検討した．HELLP症候群（血小板減少，肝酵素上昇，胃拡張のみのatypical HELLP症候群症例も含む）または子癇と診断されたのは15症例，上腹部痛がありSBを投与後に血小板減少，肝酵素上昇，腹部膨満，子癇発作によって搬送された症例を3例認めた．【症例1】28歳0経産 妊娠34週頃より蛋白尿（++）出現，36週には高血圧（140/100mmHg）となり前医入院管理となるが，胃痛あるためSB筋注後子癇発作出現し，当科搬送され緊急帝王切開（2,110g）となった．術前検査にて血小板が230,000/μlから130,000/μlに減少していた．【症例2】31歳0経産 妊娠中は蛋白尿，高血圧は認めなかった．妊娠40週0日，3,360gの児を正常分娩したが，産褥1日目嘔吐，上腹部痛ありSBを投与されたが症状悪化し，採血したところ血小板減少，肝酵素上昇しており当科に搬送された．【症例3】27歳0経産 妊娠32週より，蛋白尿（++）出現，34週検診時血圧が160/90mmHgとなった．35週，上腹部痛にて前医受診．SB筋注された直後より嘔吐，頭痛出現，血圧は200/110mmHg，血小板は120,000/μlに減少したため当科に搬送され，緊急帝王切開となった．妊娠，産褥時に交感神経を刺激する薬剤を安易に投与することは，HELLP症候群，子癇発症の引き金となりかねなく，また重症例となり管理に苦渋するため，相当な注意を要すると思われる． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 396-396, 2003 |
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