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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
奨励賞候補(6) 当科における胎児胸水の検討
上田 敏子, 村越 毅, 小林 奈緒, 沼田 雅裕, 成瀬 寛夫, 鳥居 裕一
聖隷浜松病院産婦人科
【目的】胎児胸水原発例に対し,胸水穿刺または胸腔―羊水腔シャント術による胎内治療を行った症例についてその診断,管理および予後に関連する因子について検討する.【対象・方法】1994年5月より2003年5月までの10年間に当院において管理を行った胎児胸水9症例を対象とした.Interventionとしては胎児胸腔穿刺および胸腔―羊水腔シャントを行った.診断週数,原疾患,胎児水腫の有無,穿刺前後での肺拡張率(穿刺後肺面積/穿刺前肺面積),肺低形成の有無,予後について検討した.【結果】診断週数は19週から38週であった.原疾患の内訳は乳縻胸6例(内1例は21トリソミー),肺分画症2例,不明1例であった.胎児水腫は5症例に認めた.4症例に対し胎児胸腔穿刺(内1症例に対しては頻回穿刺),4症例に胸腔―羊水腔シャント術を行い,1症例に対しては経過観察のみで自然に胸水は消失している.穿刺前後で全体の肺拡張率が110%以下の症例2例はいずれも肺低形成を認め,肺低形成を認めなかったものは全例110%以上の肺拡張率であった.肺低形成症例は2症例とも新生児死亡となった.また胎児水腫を認めた症例5例のうち4症例が新生児死亡となった.【結論】肺拡張率が不良(110%以下)の症例では肺低形成を認め,全例新生児死亡であった.肺拡張率が良好でも最終的に胎児水腫が改善しない症例の予後は不良であり,胎児胸水症例においては,肺拡張率と胎児水腫の有無が予後を予測する重要な因子であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
398-398, 2003
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