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第106回学術集会(平成15年10月5日)

【一般演題】
奨励賞候補(6)
胎児骨折を呈した骨系統疾患3症例における特徴的胎児MRI所見


中治 陽子, 松田 秀雄, 川上 裕一, 芝崎 智子, 吉永 洋輔, 坂口 健一郎, 古谷 健一, 菊池 義公
防衛医科大学校産婦人科


 【目的】2003年1月から半年で胎児骨変形を呈した3症例を経験した.説明と同意の上,超音波診断に加えて胎児MRI検査を施行した.MRI検査において,特徴的な反屈位(star gazing position)を呈した.3症例の臨床経過を検討するとともに,骨系統疾患に胎児MRIの臨床的意義について考察し報告する.【症例】(1)Arthrogryposis multiplex congenital:妊娠32週,脳室拡大を主訴に紹介受診.四肢の変形と水頭症,小頭症を認めた.MRI;強度の反屈位を認めた.妊娠35週5日,選択的帝王切開術施行.2470g男児.四肢,頚部の関節拘縮,多発奇形を認めた.FGFR3(fibroblast growth factor receptor type 3)の変異により診断が確定した.(2)Thanatophoric dysplasia:妊娠26週,四肢短縮症にて紹介受診.四肢の変形像,羊水過多を認めた.MRI;強度の反屈位を認めた.32週6日,前期破水にて緊急帝王切開術施行.1928g男児.多発骨折あり.RDS,胸郭低形成にて挿管管理となる.生後3ヶ月を経て生存中.(3)Osteogenesis imperfecta typeIIB:妊娠26週にて大腿骨の短小,変形を指摘.MRI;大腿骨変形と骨信号低下・強度の反屈位を認めた.妊娠38週2日,選択的帝王切開にて2080g女児娩出.右大腿骨骨折と左鎖骨骨折,全身の骨形成不全を認めた.【結論】胎内で強度の反屈位を呈する際には,染色体異常のみならず,筋系統性疾患,頚部脱臼,骨系統疾患を念頭におく必要がある.とくに,長骨骨折を伴う症例では,安易な経腟分娩は児の頚部骨折を引き起こす可能性が指摘され,MRI等を用いた胎児矢状断面の画像的補助診断が有用であると思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3) 399-399, 2003


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