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第106回学術集会(平成15年10月5日)
【一般演題】
奨励賞候補(6) 先天性横隔膜ヘルニアの予後判定における胎児MRIの有用性について
加来 建志1), 長田 久夫1), 幸地 克憲2), 大沼 直躬2), 大曽根 義輝3), 関谷 宗英1)
千葉大学産婦人科1), 千葉大学小児外科2), 君津中央病院新生児科3)
【目的】先天性横隔膜ヘルニアを有する児は出生直後から厳重な呼吸管理を要する.今回胎児肺形成の評価として,高速度MRI連続画像から胎児肺容量およびシグナル強度の相対値の算出を行い,予後判定に対する応用の可能性を検討したので報告する.【方法】対象は1996年から2002年までの7年間に出生前に先天性横隔膜ヘルニアと診断され妊娠24-37週にMRI撮像が行われた計13例の児とした.胎児胸郭を矢状・前額・冠状断の3方向につき撮像,各連続画像上で肺実質輪郭をトレースして測定された肺容量と標準肺容量との比を算出,また同一冠状断像上における肺実質と脊髄液間のシグナル強度比の平均値を求めた.なお標準肺容量は,出生後呼吸障害を認めなかった児62例の胎児MRIから求められた回帰式(肺容量)=0.97×(妊娠週数)-14.0を用いて算出した.これら容量比ならびにシグナル強度比と診療録から抽出した出生後の臨床諸指標との関連を分散分析にて検討した.【結果】肺容量比は出生直後の検査値の中で,oxygenation indexならびに動脈血pHと有意の負の相関(p<0.05)を,PaCO2と有意の正の相関(p<0.05)を示した.一方,肺/脊髄液シグナル強度比では,出生直後の検査値のいずれとも有意の相関は認められなかった.対象を生存群7例と心奇形合併2例を除く死亡群4例に分類すると,死亡群では肺/脊髄液シグナル強度比が有意の低値を示した(p<0.05)が,肺容量比には有意差が認められなかった.【結論】胎児MRI画像から算出された肺容量比は児の短期予後に,肺/脊髄液シグナル強度比は最終予後に関連することが示され,MRIを用いた胎児肺形成の評価は児の肺低形成や予後の判定に有用であることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(3)
399-399, 2003
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