|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
子宮悪性腫瘍1 転移性腫瘍と鑑別困難な肺肉芽腫を合併した再発子宮頚癌の一例
袖本 武男, 星野 寛美, 斎藤 一夫, 村山 さつき, 根本 明彦, 関 博之
関東労災病院産婦人科
悪性腫瘍再発の診断は腫瘍マーカーの上昇や画像診断等によって行われるのが一般的であるが,画像診断において原発性悪性腫瘍や良性疾患等との鑑別が問題となる場合もある.今回我々は子宮頚癌再発・肺転移の症例に対して右肺下葉切除を施行し肺肉芽腫と診断された一例を経験したので報告する.症例は初診時63歳,子宮頚癌IIb期の診断にて2001年6月5日広汎子宮全摘術施行.術後病理診断は扁平上皮癌,pT2aN0M0であった.後療法として全骨盤照射50Gyとcisplatin・5FU併用化学療法を行った.術前はSCC 16ng/mlであったが術後1週間目にはSCC≦0.5ng/mlとなった.その後外来管理していたが,2002年5月SCC 9.6ng/mlと上昇し,胸部CTで両肺に複数の腫瘤を認めた.再発・肺転移の診断でBOMP療法を開始し一時的には効果を認めたが持続せず,SIP療法,etoposide内服と治療を変更した.2003年4月よりweekly TJ療法に変更したところSCCが低下し,CTでもこれまで見られていた腫瘤は縮小した.しかし右肺下葉S10領域に径28mmの腫瘤出現という所見を認めた.その後SCCがcut off値以下となったが右肺下葉の腫瘤のみ縮小傾向が見られず,治療抵抗性の転移性腫瘍である可能性や転移性腫瘍ではない可能性等が考えられた.本人・家族に説明し同意を得た上で診断・治療を目的とした手術の方針とした.7月22日当院外科にて胸腔鏡下右下葉切除を施行された.肉眼所見では径3cmの黄白色の腫瘤を認め,内部に径1.5cmの空洞が見られた.組織病理所見では類上皮性肉芽腫より成り,真菌・好酸菌は確認されず明らかな転移性腫瘍の像も認めなかった.手術後には術前に縮小を認めていた腫瘤が再度増大傾向となり,治療継続中である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
132-132, 2004
|