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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
子宮悪性腫瘍2 慢性腎不全合併の子宮頸癌再発例に対し,塩酸イリノテカンとネダプラチン併用化学療法が奏効した一例
高橋 晃, 荻島 大貴, 宮井 健太郎, 田中 美香, 吉田 学, 木下 勝之
順天堂大学産婦人科
(はじめに)慢性腎不全血液透析患者における抗がん剤化学療法は,腎機能正常者に比べ,より一層の配慮が必要である.今回,SLEによる慢性腎不全にて維持透析中の子宮頸癌再発症例に対し,ネダプラチン(NDP)と塩酸イリノテカン(CPT-11)の併用化学療法をその血中濃度を測定しながら行い,画像,腫瘍マーカー上,抗腫瘍効果を得ることができたので報告する.(経過)症例は43才で,平成6年よりSLEによる慢性腎不全で維持透析を開始した.子宮頸癌2b期の診断で,VP-16とCBDCAによる動注化学療法を3コース施行後,広汎子宮全摘術および骨盤内リンパ節郭清を行い,非角化型扁平上皮癌ypT2aN1M0と診断し,術後全骨盤内照射の放射線治療を行った.術後19ヶ月より血清SCCが上昇し,24ヶ月には胸水および胸部CT上右肺中葉に1.5cm大の腫瘍を認め,子宮頸癌再発と診断し,維持透析下でNDPとCPT-11による化学療法を施行した.その後腫瘍マーカーの下降と,画像上肺野の再発巣は消失した.透析直前の総白金濃度は低値ながらPR(partial response)を得ることができた.(結語)白金製剤は時間と共に腎排泄され,血中濃度は減少していく.今回,NDPは透析時間経過と共に血中濃度は減少しており,維持透析中でも比較的安全に投与可能であり,効果も十分期待できることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
134-134, 2004
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