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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
子宮悪性腫瘍2 若年子宮頸部腫瘍患者におけるヒトパピローマウイルスの型解析
平尾 薫丸, 藤井 多久磨, 岩田 卓, 倉橋 崇, 小野 晃子, 林 茂徳, 福地 剛, 久布白 兼行, 塚崎 克己, 吉村 泰典, 野澤 志朗
慶應義塾大学産婦人科
【目的】子宮頸癌のリスクファクターとされるヒトパピローマウイルス(HPV)感染と子宮頸部病変の有無および進行について年齢との関連について解析した.【方法】インフォームド・コンセントを得た当院外来患者881例を対象とした.ハイブリッドカプチャー2(HC2)法を用いてHPV感染の有無を調査した.また組織診にて異形成以上の病変を認めた204例に対し,HPVのL1領域を標的としたPCRを行い,陽性例に対してはシークエンス解析による型判定を施行した.軽度異形成,中等度異形成の113例に対してはさらに前方視野的に病変の経過を観察した.【成績】細胞診・組織診ともに正常であった414例中70例(16.9%),少なくとも細胞診・組織診いずれかに異常を認めた467例中352例(75.4%)にHPV感染を認めた.検出頻度は両群ともに20歳代に高く,その後40〜50歳代まで低下した後60歳代以降で再び上昇する傾向を認めた.組織診で異形成以上の病変を認めた204例でのPCRの結果172例(84.3%)にHPVが検出され,型別の解析においては特にHPV16型感染例が若年者に多く検出される傾向が認められた.また高度異形成以上の病変ではHPV16型および52型が多く検出され,高齢になるほど病変が進行する傾向を認めた.前方視野的経過観察では,型別の病変の消失頻度に関しては有意な差を認めなかったものの,1年以上病変の持続する症例は若年者の感染例により多い傾向を認めた.【結論】若年者においては,上位病変の多く見られるHPV16型感染例の頻度が高く,また病変の持続例が多く認められたことから,若年者の異形成患者に対して特に慎重な経過観察が必要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
135-135, 2004
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