|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
子宮悪性腫瘍2 子宮内膜異型増殖症や子宮体癌に対する子宮温存療法について
藤田 聡子, 鈴木 麻水, 秋谷 文, 真島 洋子, 渡辺 浩二, 酒見 智子, 木村 俊夫, 斉藤 理恵, 塩田 恭子, 板坂 俊典, 栗下 昌弘, 佐藤 孝道
聖路加国際病院産婦人科
【目的】不妊治療中に子宮内膜異型増殖症や子宮体癌(以下,一括してEN)が発見されることがある.このような症例のうち子宮温存療法を選択した3例について報告する.【方法】組織は子宮内膜全面掻爬によって確認し,2例がatypical endometrial hyperplasia,complex(以下,AEHC),1例はendometrial adenocarcinoma(以下,EA),grade1であった.画像診断にて子宮筋層への浸潤がないことを確認し,予想される経過や危険性について十分な同意を得た上で,酢酸メドロキシプロゲステロン(以下MPA)400―600mg/日による治療を行った.[結果]3症例の平均年齢は30.6歳,平均BMIは29.4で,うち2人は高度の肥満を認めた.2例はバファリン81mgを併用した.投与中は,子宮内膜細胞診,組織診,全面掻爬,超音波断層法によって治療効果を判定した.1例(AEHC)は,16ヶ月間MPA投与をおこない,経過中4回の全面掻爬を行った.4回目の掻爬で異型細胞の消失が確認され,クロミッド妊娠,帝王切開により分娩に至った.1例(AEHC)は6か月の投与後,全面掻爬で子宮内膜の過形成があり超音波断層法でも内膜肥厚があるので,現在MPAの投与を継続している.他の1例(EA)は10か月投与後に異型細胞が消失したので,現在妊娠を試みている.【考察】ENに対する子宮温存のためのMPA療法は有益な治療法と考えられるが,その効果は一定しておらず治療に長期間かかることがある.対象症例については十分な情報を,supportiveに提供することが重要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
137-137, 2004
|