|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍1 皮膚筋炎に合併した卵巣癌の1例
高島 明子, 安田 豊, 斉藤 智博, 矢野 ともね, 木下 俊彦, 伊藤 元弘
東邦大学付属佐倉病院産科婦人科学教室産婦人科
(緒言)皮膚筋炎(Dermatomyosistis;以下DM)は近位筋優位の骨格筋および皮膚の瀰漫性炎症性疾患であり,悪性腫瘍を高率に合併することが知られている.本邦ではDM合併卵巣癌についての報告は散見されるのみで,癌治療がDM症状に対してどのような影響を及ぼすかは症例数も少なく明確ではない.今回DMをきっかけに診断された卵巣癌が,癌治療に伴いDM症状の軽快を見た一例を経験したので報告する.(症例)55歳,1経妊1経産,閉経51歳.徐々に全身に拡大する紅斑及び四肢近位筋を中心とする筋力低下,発熱が出現し,DMと診断された.悪性腫瘍のスクリーニング目的にて当科受診し,骨盤内腫瘍及び腹水を認め,Douglas窩穿刺細胞診よりclass∨,adenocarcinomaと診断され,卵巣癌と診断した.腹式単純子宮全摘,両側付属器切除,骨盤内リンパ節郭清,大網切除,又腫瘍が上行結腸,横行結腸と癒着していた為,右半結腸切除術を施行した.術後病理診断にてserous papillary adenocarcinoma,stageIIIc期と診断.術直後より,DM症状の改善を認めており,術後一ヶ月よりTJ療法を開始し現在施行中であるが,腫瘍マーカーの減少に伴いDM症状は軽快している.(考察)DMの原因は自己免疫学的機序が推測されるものの,悪性腫瘍が合併する関連性については明確ではない.DMと悪性腫瘍の活動性が平行する症例は約25〜30%に認められるとする報告もあるが,化学療法によりDM症状の増悪を認めた報告もあり,今後も両者の病勢について厳重な経過観察が必要と考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
142-142, 2004
|