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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
卵巣腫瘍1
子宮摘出術後のNormal sized ovary carcinoma Syndromeの1例


五十嵐 豪1), 斎藤 馨1), 岩田 正範1), 和田 康菜1), 中島 健1), 中村 真1), 増田 充1), 新橋 成直子1), 栗林 靖1), 石塚 文平2)
聖マリアンナ医科大学東横病院産婦人科1), 聖マリアンナ医科大学病院産婦人科2)


 子宮摘出術後の卵巣癌の発生は,本邦では全卵巣癌の6.5%と報告されていて,欧米に比し低いが,一般の卵巣癌に比べ進行例が多く予後不良との報告もある.今回,我々は,子宮摘出術後に発生したNormal sized ovary carcinoma Syndromeの1例を経験したので報告する.【症例】:60才,2G2P,48才時,子宮筋腫で子宮全摘術を受けている.平成15年9月,内科検診時LDHの高値を認め,更に12月には腹水貯留も認めたので,消化管検査をするも異常なく婦人科を紹介受診.膣断端細胞診陰性,B-scope,骨盤CTでは,明らかな腫瘍は発見されなかったが,血中CA125:1730,CA19-9:98と上昇し,腹水細胞診にて腺癌(卵巣癌由来を推定)の診断を得,SSPC,Normal sized ovary carcinoma Syndromeを疑い,充分なインフォームド・コンセントのもとH15.12.4開腹.腹腔内に播種を認め,両側付属器切除術および大網切除術を行い,組織診断は奬液性腺癌であった.本年1月9日よりTJ weekly療法を開始し,1月29日には血中CA125は33と正常域へ低下するも,なお治療継続中である.【結論】卵巣癌の早期診断や検診方法が確立されていない現在,本症例のように,閉経に近い患者に対しては,子宮全摘術の際,たとえ両側卵巣を摘出しても,ホルモン補充療法という卵巣欠落症状をカバーする簡便な方法があることを考慮すれば,充分な説明を行った上で,卵巣を摘出して癌発生を予防することを優先させるべきではないかと思われる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 143-143, 2004


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