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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
卵巣腫瘍1
卵巣上皮性境界悪性腫瘍の臨床病理学的検討


萩原 秀文, 嵯峨 泰, 大和田 倫孝, 桑田 吉峰, 高橋 佳容子, 高橋 寿々代, 藤原 寛行, 泉 章夫, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科


 当科で治療した卵巣上皮性境界悪性腫瘍の臨床病理学的検討を行った.1988年から2003年までの16年間に当科で治療した卵巣上皮性悪性腫瘍(境界悪性腫瘍を含む)は379例であり,うち境界悪性腫瘍は43例,11%を占めた.年齢は11〜77歳(median 52歳),組織型は漿液性20,粘液性23であった.進行期はIa 25,Ib 3,Ic 13,IIIb 2で,I期が95%を占めた.腫瘍径は2〜30cm(平均15cm)であった.腫瘍マーカーはCA125が37%で陽性(16例;漿液性11,粘液性5),CA19-9は19%で陽性(8例;漿液性2,粘液性6)を示した.術式は患側付属器切除15例,両側付属器切除3例,内性器全摘25例(後腹膜リンパ節郭清追加10例)であった.術後の化学療法はIIIb期の2例とIc期の4例に施行された.観察期間中に3例に再発がみられた.症例1:粘液性Ia期,付属器切除22か月後に肺転移,脳転移のため死亡.症例2:漿液性Ia期,付属器切除125か月後に対側卵巣に再発し,内性器全摘を行い現在無病生存.症例3:漿液性IIIb期,18か月後に腫瘍マーカーの上昇を認め,化学療法を行い寛解.他の40例は無病生存している(観察期間2〜132ヶ月,中央値34ヶ月).年齢,進行期,腫瘍径,予後に組織型による差はなかった.卵巣上皮性境界悪性腫瘍はおおむね予後良好であるが,ときに再発例がみられ,とくに長期にわたる経過観察の必要があると考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 145-145, 2004


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