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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍2 術後化学療法が著効した卵巣原発癌肉腫・子宮類内膜腺癌重複発症の1症例
藥袋 牧子1), 岩本 豪紀1), 渡辺 直子1), 奥田 靖彦2), 三宅 麻喜2), 端 晶彦2), 平田 修司2), 星 和彦2)
山梨赤十字病院産婦人科1), 山梨大学産婦人科2)
近年,診断技術の向上などにより,他臓器間の重複癌は増加傾向にあると報告されている.一方でその予後については報告によりかなりの差異がみられる.また,卵巣原発癌肉腫はまれな疾患であり,有効な治療法が確立されていない.今回われわれは,術後化学療法が著効し,経過が良好であった卵巣原発異所性癌肉腫および子宮体部類内膜腺癌の重複悪性腫瘍を経験したので報告する.【症例】55歳,0回経妊0回経産婦.2001年7月より不正性器出血,下腹部痛を自覚していた.同年11月,近医受診し,超音波上卵巣癌が疑われ当院紹介となった.腫瘍マーカーはLDH,CA125,CA72-4の軽度上昇が認められた.細胞診は子宮内膜classV(腺癌)であった.画像診断上,充実性部分を含む11.4×9.5×7.5cmの付属器腫瘍像を認めた.CTにて傍大動脈リンパ節に約2cm大のリンパ節の腫張がみられた.【治療経過】子宮体癌および付属器悪性腫瘍の疑いにて同年12月11日,開腹手術施行.左卵巣は新生児頭大に腫大し,周辺臓器と強固に癒着しており,腫瘍の完全切除は不可能であった.腹式子宮全摘出術+両側付属器切除術を施行したが,腹腔内に明らかに卵巣腫瘍が残存した.病理診断は上皮成分が扁平上皮癌と極めてまれな卵巣原発異所性癌肉腫StageIIcおよび子宮体部類内膜腺癌Grade2,StageIbの重複癌であった.術後CDDP100mg腹腔内投与1クール,IAP(Ifosfamide,ADM,CDDP)療法全身投与を6クール施行したところ,マーカーは正常化し,画像上腫瘍は消失した.術後2年2ヶ月経過しているが現在,再発徴候はみられていない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
148-148, 2004
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