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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
卵巣腫瘍2 膵および肝転移を認めた卵巣原発カルチノイドの1例
服部 信, 大前 真理, 椎名 香織, 菊地 紫津子, 澤井 かおり, 鈴木 猛, 中山 昌樹
横浜労災病院産婦人科
【緒言】卵巣カルチノイドは非常に希な疾患である.卵巣を含めカルチノイドは一般的に予後良好であるが,浸潤や転移を認める悪性例では予後は極端に悪くなると言われている.このような悪性例に対しては手術後化学療法が行われているものの,一定した見解はなく種々の薬剤が試みられているのが現状である.今回我々は薬剤感受性試験にて抗癌剤を選択した卵巣悪性カルチノイドの1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.【症例】43才,2経妊2経産.近医より卵巣腫瘍で当科に紹介された.カルチノイド症候群は指摘できなかった.MRI,CTで7cm大の右卵巣腫瘍と,上腹部に4cm大の腫瘤および肝臓内に多発する腫瘤が認められた.また左卵巣にも転移が示唆されたが,大きさはほぼ正常大であった.画像診断および諸検査の結果から膵癌などの外科的疾患が強く疑われ,当院外科にて膵尾部切除+肝部分切除+右付属器切除が施行された.病理組織学的検査の結果は卵巣原発のカルチノイドであった.このため当科で肝内残存腫瘍に対しTJ療法を2コース施行したが治療効果は得られず,むしろ徐々に左卵巣の増大を認めた.そこで左付属器切除術を行い,得られた腫瘍にて薬剤感受性試験を試みることとした.結果はEtoposide>>Doxorubicin>Mitomycin C>5-Fluorouracil>Cisplatinであった.現在,4週毎Etoposide 200mg/日×5日間内服にて治療を継続中である.【結語】悪性カルチノイドの化学療法は未だ確立された方法はなく,薬剤感受性試験は治療薬選択の適応となりうる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
149-149, 2004
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