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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
卵巣腫瘍2
内部に出血を伴う単房嚢胞性腫瘤で術前に顆粒膜細胞腫と診断した2例


村中 愛, 田畑 きく江, 伊東 和子, 大平 哲史, 岡 賢二, 加藤 清, 塩沢 丹里, 小西 郁生
信州大学産婦人科


 顆粒膜細胞腫の多くは大部分充実性の腫瘤を形成するため,大部分嚢胞性の腫瘤では術前診断が困難なことが多い.今回我々は,単房嚢胞性腫瘤の経過観察中に充実性部分を認め,術前に顆粒膜細胞腫と診断した2例を経験した.症例1は59歳,G3P2,閉経54歳である.2002年5月,下腹部痛を主訴に受診した.超音波検査およびMRI検査にて径6cmの卵巣嚢腫を認め,内部は血性の像を呈するも充実性部分は明らかではなく,経過観察とした.8月,嚢胞内部に充実性部分を認め,血中腫瘍マーカーはCA125,CA19-9,CEA,SCC,AFPのすべて正常範囲内であったが,血中E2は36.7pg/mlと軽度上昇していた.形態は典型的ではないが顆粒膜細胞腫を疑い11月開腹術を施行した.右卵巣腫瘍で,内部は漿液性血性,一部充実部分を認め,病理組織診で顆粒膜細胞腫と診断した.症例2は57歳,G2P2,閉経53歳である.2002年6月,婦人科検診の超音波検査にて径3cmの卵巣嚢腫を指摘され,以後経過観察されていた.2003年10月腫瘤内部に充実性部分を認め,当科に紹介となった.血中腫瘍マーカーは正常範囲内であったが,血中E2は37.9pg/mlと軽度上昇していた.MRIで径4cmの左卵巣嚢胞性腫瘤を認め,内部は血性の像を呈し,充実性部分を認めた.2003年11月卵巣顆粒膜細胞腫を疑い開腹術を施行した.左卵巣腫瘍であり,顆粒膜細胞腫であった.卵巣嚢腫の経過観察において内部に出血をきたす場合は顆粒膜細胞腫の可能性を念頭に置く必要がある.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 150-150, 2004


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