 |
|
  |
|
         
|
<< 学会誌へ戻る 卵巣甲状腺腫性カルチノイドは稀有な組織型である．われわれはその一例を経験したので報告する．【症例】50歳，3妊3産．【既往歴】虫垂切除術：11歳．【家族歴】祖母：胃癌，父：肝癌．【現病歴】人間ドックで骨盤内腫瘍を指摘され当院を受診，精査加療目的に入院となった．元来高度な便秘症であった．【画像所見】経膣超音波断層法および骨盤MRIにて子宮の左側に長径4cm大の充実部を伴う嚢胞性腫瘍およびそれに連続する直径3cm大の充実性腫瘍を認めた．【血液検査所見】特記事項なし．甲状腺機能，腫瘍マーカーもTSH:0.58μU/ml，fT3:3.03pg/ml，fT4:0.87ng/dl，CA125:21U/ml，CA72-4:5U/ml，CA19-9:7U/ml，CEA:2.3ng/mlとcut-off以下であった．【開腹所見】開腹術を施行したところ，鶏卵大の左卵巣腫瘍で内容液は漿液性，内部に軟骨成分と乳白色の固い充実性部分を認める嚢胞性腫瘍であった．【病理組織学的所見】充実部では濾胞形成とコロイド貯留を認める甲状腺様組織と多角形細胞の索状増殖からなるカルチノイド成分を認め，嚢胞壁には消化管粘膜，気管支上皮，軟骨などを認めた．成熟嚢胞性奇形腫の一部から発生した甲状腺腫性カルチノイドと考えられた．【腹水細胞診】陰性【腫瘍割面捺印細胞診】甲状腺腫の組織像を思わせるコロイド様物質を取り囲む小型の細胞がシート状に出現している部分と，索状カルチノイドの組織像を思わせる小型の細胞がクラスターで出現している部分を認めた．【術後経過】術後経過は順調であった．術後の甲状腺機能には変化は認められなかった．術後，高度の便秘症は薬物療法なしに解消された．追加治療なく，現在外来にて経過観察となっている． 日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 153-153, 2004 |
||
|
一般社団法人関東連合産科婦人科学会事務局 〒102-0083 東京都千代田区麹町4-7 麹町パークサイドビル402 株)MAコンベンションコンサルティング内 TEL：03-3288-0993 FAX：03-5275-1192 E-mail：kantorengo@jsog-k.jp Copyright (C) 一般社団法人関東連合産科婦人科学会 |