|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
子宮筋腫・子宮内膜症 Hb値1.5 g/dlの貧血により心不全と肺水腫をきたした子宮筋腫の一症例
中村 友紀, 川島 正久, 小林 友季子, 沼野 由記, 北村 公也, 大井 豪一, 茂庭 将彦, 小林 浩, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科
子宮筋腫や子宮腺筋症は過多月経の原因となり,次第に貧血が進行し高度の貧血を来たすことがある.今回我々は,全身倦怠感と呼吸困難があり救急車にて来院した患者で,Hb値1.5g/dl,Hct値5.9%と極度の貧血を認め,心不全と肺水腫を合併し,過多月経が原因と考えられた症例を経験したので他からの報告例も交え検討を行った.患者は40歳の2回経産婦で,10年来の過多月経を認めるも産婦人科を受診したことがなかった.来院数ヶ月前から過多月経が次第に増悪し労作時の息切れ感出現していた.来院6日前に月経が開始してからは全身性の浮腫,咳と呼吸困難感が出現した.呼吸困難感は増悪する一方で歩行すらできない状態になったため救急車を要請し,当院救急部に来院した.来院後の胸部X線検査,血液ガス所見,心臓のエコー所見などから当初循環器疾患が疑われたが,患者の既往歴から,過多月経による貧血が基礎疾患として疑われ,婦人科に転科した.当科入院後すぐに利尿剤と10単位の輸血を行い肺水腫と全身の浮腫は著名に改善し,入院5日後にはHb7.4,Hct24%にまで改善したため,一旦退院となった.GnRH製剤の投与を行いながら貧血および全身状態の改善を待ち,その後子宮全摘術を行った.摘出した子宮標本には,直径約5センチの粘膜下筋腫と子宮腺筋症が認められた.この程度の貧血になると,心肺停止を起こしたり,意識レベルの低下を起こす報告もあり,全身的な管理が必要となることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
157-157, 2004
|