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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
子宮筋腫・子宮内膜症 腹腔内出血をきたした子宮筋腫の2症例
大本 和美, 堀出 由里, 阿部 孝彦, 小坂 元宏, 寺内 公一, 坂本 秀一, 久保田 俊郎, 麻生 武志
東京医科歯科大学周産女性診療科
子宮筋腫は最も頻度の高い婦人科良性腫瘍であり,主に過多月経,腰痛,下腹部腫瘤感などの症状が進行すると治療の対象となるが,突発的に腹腔内出血をきたし緊急手術を要した子宮筋腫の2症例を経験したので報告する.症例1は42歳,0経妊0経産で,約2年前に腹痛を自覚し,他院にて子宮筋腫との診断を受けていたが放置していた.突然の嘔気,腹部緊満感を来し救急車にて来院した.軽度の貧血状態にあり,内診にて骨盤内に小児頭大の腫瘤を触知し,超音波断層検査と腹部CT所見から腹腔内出血を認め,右付属器付近からの出血と思わせる所見と腸管の一部拡張所見が見られた.腸管あるいは子宮筋腫からの出血を疑い緊急開腹術を施行したところ,子宮後壁に径15cm大の子宮筋腫があり,表面に静脈叢が発達し出血は静脈叢の破綻によるものであった.腹式単純子宮全摘術を施行,術後経過は良好であった.症例2は38歳0経妊0経産で,主訴は続発性無月経と性器出血で,妊娠9週,稽留流産と診断され,当科入院のうえ子宮内容清掃術が施行された.なお1年前から子宮筋腫にて経過観察中であった.術後2日目にHbは8.0g/dlと低下し,経腹超音波検査で腹腔内に貯留液を認め,子宮穿孔による出血を疑い緊急開腹術を施行した.出血点は子宮後壁の径5cm大の漿膜下筋腫からであったため筋腫核出術を行った.術後経過は良好であった.漿膜下子宮筋腫症例の経過観察中に急性腹症,貧血を呈した場合には,筋腫核表面または近傍からの血管破綻による出血の可能性をも念頭に対処すべきである.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
158-158, 2004
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