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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
子宮筋腫・子宮内膜症 子宮筋腫の術前に発見される深部静脈血栓症について
真島 洋子, 西山 幸江, 藤田 聡子, 渡辺 浩二, 酒見 智子, 塩田 恭子, 齋藤 理恵, 木村 俊夫, 板坂 俊典, 栗下 昌弘, 佐藤 孝道
聖路加国際病院産婦人科
[目的と方法]子宮筋腫の増大の結果,物理的な静脈圧排によって血流障害から深部静脈血栓症(以下,DVT)が起こることは十分に考えられるが,その報告は少なく極めて稀なものと考えられる.しかし,肺塞栓症は致命的な結果に結びつくので,手術適応を考える上でも,術前術後の管理の面でも重要な病態と言える.我々は術前にDVTと診断した子宮筋腫2例を経験したので報告する.[結果]2001年3月―2003年12月までに子宮筋腫のために手術を行った571例中2例(0.4%)で術前にDVTが発見された.発見のきっかけは下肢の疼痛を訴えたためで,緊満感・圧痕のある浮腫性腫張も見られた.DVTの診断には超音波断層法,MRIや静脈造影を用いた.周術期には抗凝固療法と下大静脈フィルターを使用し,肺塞栓などの合併症は見られなかった.1例は31歳,BMI20.9,核出した筋腫の重量は1160g,他の1例は50歳,BMI23.7,筋腫重量は1230gであった.[考察]生活習慣の変化により術後DVTの増加が報告されているが,手術に関係しないDVTも増加する可能性がある.骨盤内のspace-occupying lesionそのものが,今後DVTのリスク因子として認識される可能性もある.子宮筋腫の手術適応を決める上で重要な合併症であるばかりではなく,術前管理の点からも念頭に置くべき病態であることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
158-158, 2004
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