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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
子宮筋腫・子宮内膜症 子宮筋腫に対する子宮動脈塞栓術(UAE)の検討
上田 和, 舞床 和洋, 斉藤 元章, 矢内原 臨, 斉藤 絵美, 茂木 真, 高倉 聡, 山田 恭輔, 岡本 愛光, 落合 和徳, 田中 忠夫
東京慈恵会医科大学産婦人科
子宮動脈塞栓術(uterine artery embolization:UAE)は子宮筋腫による諸症状の改善・緩和を目的として報告されたが,現在では新しい治療法の一つとして注目されている.今回我々は,症状を有する子宮筋腫に対してUAEを施行し臨床的有用性を検討したので報告する.対象はインフォームド・コンセントを得た上で,2000年9月―2003年8月までに当科でUAEを行い,6ヶ月以上治療経過を観察し得た有症状子宮筋腫例43例である.挙児希望のある患者に対しては現在のところ治療を行っていない.子宮筋腫核の個数別でみると単発性13例(漿膜下1例,筋層内8例,粘膜下4例),多発性30例であった.それぞれについてMRI計測による治療後6ヶ月間の縮小率,治療を要する副作用の出現率を検討した.単発性筋腫における平均縮小率は漿膜下50%,筋層内65%,粘膜下100%であり筋腫核の存在部位によって差を認め,とくに粘膜下筋腫において治療効果が高かった.多発性筋腫における縮小率をみると,やはり部位による差を認め,縮小率の判定法にはさらなる検討を要するものと思われた.治療を要する副作用は子宮内感染のみで,その出現率をみると単発性においては13例中4例(31%),多発性30例中1例(3%)であり単発性において有意に高かった.また,単発性における部位別では粘膜下筋腫において副作用出現率が高かった(4例中2例).UAEは特に粘膜下筋腫において副作用の出現率が高かったものの治療効果が高く,副作用に対する適切な治療を確立した上で行われれば有用な治療法の一つになることが示唆された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
159-159, 2004
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