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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
子宮筋腫・子宮内膜症 低用量ピル(OC)は子宮内膜症の進行にブレーキをかけられるか?
楠原 浩二
楠原レディースクリニック(東京)婦人科
【目的】低用量ピル(OC)は優れた避妊薬であるが,またその排卵抑制作用は他の婦人科疾患の治療にも応用が期待できる.そこで子宮内膜症(以下内膜症)にOCを長期投与し,1)OCが内膜症の進行にブレーキをかけられるか?2)どこまで疼痛が緩和できるか?の2点を検討した.【方法】対象はチョコレート嚢腫を有しかつ長期間(平均26.9ヶ月)OCを連続投与した内膜症24例である.18例はOC単独投与し(A群),残り6例は嚢腫が大きいためまずGn-RHa剤を6ヶ月間投与の後,直ちにOCを開始した(B群).両群に経時的に経膣エコーにてチョコレート嚢腫の最大径を計測し内膜症の発育のメルクマークとした.またOCによる疼痛緩和効果をスコアリングシステムにて評価した.【成績】1)チョコレート嚢腫の大きさの変化:A群18例では消失4例(22.2%),縮小12例(66.7%),不変1例(5.6%),増大1例(5.6%)であった.B群6例では縮小2例,不変2例,増大2例でそれぞれ33.3%であった.A,B両群を合計すると消失4例(16.7%),縮小14例(58.3%),不変3例(12.5%),増大3例(12.5%)であった.以上より対象24例中嚢腫が増大した3例・12.5%を除く21例・87.5%はOCにより嚢腫が消失〜縮小した.このことからOCの長期投与は内膜症の発育を抑制し,その進行にブレーキをかけたものと考えられた.2)疼痛緩和効果:スコアリングシステムによる評価から24例中18例(75.0%)で著明な疼痛緩和効果が得られた.【結論】OCは内膜症を完治させるものではないが,長期投与にて内膜症の発育を抑制し,その進行にブレーキをかける効果が期待できる.また優れた疼痛緩和効果を発揮する点からも極めて有用である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
161-161, 2004
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