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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
手術 小児卵巣嚢腫に対して腹腔鏡下手術を施行した2例
前村 俊満, 浅川 恭行, 林 秀隆, 豊泉 孝夫, 森田 峰人, 久保 春海
東邦大学産婦人科
小児の卵巣嚢腫は,下腹部痛を主訴に小児科を受診した際の超音波検査,CT,MRI等の画像診断により,早期診断されることが増加してきた.今回,われわれは小児卵巣嚢腫に対する腹腔鏡下手術を施行した2例を経験したので報告する.症例1:7歳 初経発来なし 身長115cm体重25kg軽度の下腹部痛のため受診した他院でのCT,MRI検査所見により,卵巣皮様嚢胞腫と診断され手術を目的に当院を紹介された.気管内挿管全身麻酔下で気腹法による腹腔鏡下手術を施行した.腹腔内の癒着は認められず,右卵巣は約4cm大に腫大していた.体内法にて嚢腫核出術を施行し,嚢腫は恥骨直上に10mmのトロッカーを留置しエンドキャッチにて回収した.術後経過は良好で,術後4日目に退院となった.症例2:11歳 初経10歳 身長146cm,体重46kg強度の下腹部痛のため,当院救急外来を受診した.小児科で超音波検査,CT検査施行し卵巣嚢腫が認められたため,婦人科に受診となった.腹部診察所見は嚢腫に一致した部分に圧痛を認め卵巣嚢腫茎捻転疑いで緊急入院となった.同日症例1と同様の方法で腹腔鏡下手術を行った.腹腔内の癒着は認められず,子宮は鶏卵大,右卵巣に約5cmの出血性黄体嚢胞を認めた.卵巣嚢腫は体内法にて摘出し,嚢腫は恥骨直上にトロッカーを留置しエンドキャッチにて回収した.経過良好で術後5日目に退院となった.今回,小児卵巣嚢腫の腹腔鏡下手術の2例を経験したが,2例とも新生児や乳幼児でなかったため成人用の手術機械を使用しての操作は十分可能であり,懸念されていた腹腔内の視野も良好に保たれていた.小児であることから妊孕能温存のためには,迅速な診断治療が重要であると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
163-163, 2004
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