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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
手術
婦人科良性疾患の術後に起こった重症肺血栓塞栓症の一例


馬場 征一, 小泉 邦博, 秦奈 峰子, 島絵 美里, 幡 亮人, 幡 優子, 古堅 善亮, 三橋 直樹
順天堂大学伊豆長岡病院産婦人科


 肺血栓塞栓症は,産婦人科手術後に起こりうる合併症の一つである.今回我々は,術後に重症肺血栓塞栓症を起こしたが,迅速な対応により一命を取りとめた症例を経験したので報告する.症例は70才,3経妊3経産,閉経54才.既往歴に緑内障あり.身長147cm,体重57Kg,BMI26.家族歴に特記すべきことはない.子宮下垂感を主訴に外来受診.膀胱脱と卵巣腫瘍,子宮筋腫を認めた.全身麻酔下に,砕石位による膀胱脱根治術を施行した後,腹式単純子宮全摘術および両側付属器切除術を施行した.術後2日目初回歩行時,突然の呼吸困難,著明な冷汗と血圧低下が出現.検査にて著明な右心負荷を認め,肺血栓塞栓症の診断で,循環器内科において緊急血栓溶解術を施行した.血栓除去を行うも,次々に血栓が形成され,一時心停止となり,心肺蘇生を行った.その後t-PA投与するも再度肺動脈に血栓が付着し,除去が必要であった.術後ヘパリン,ウロキナーゼによる抗凝固療法を開始したが,動脈穿刺部に血腫を認め,出血性ショックとなったため,抗凝固療法を中止せざるを得なかった.婦人科手術術後6日目(血栓溶解術後4日目)下大静脈にフィルターを留置した.状態は徐々に安定し,肺血栓塞栓症発症後14日目に退院となった.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 165-165, 2004


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