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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
腫瘍/思春期・更年期・老年期 外陰部Bartholin腺粘液腺癌の一例
飯田 泰志1), 安西 範晃1), 松本 隆万1), 中島 邦宣1), 高田 全1), 篠崎 英雄1), 鈴木 永純1), 小林 重光1), 神谷 直樹1), 安田 允1), 田中 忠夫2)
東京慈恵会医科大学付属柏病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学産婦人科学教室産婦人科2)
Bartholin腺癌は外陰癌の約1%を占め,婦人科領域でも極めて稀な疾患である.今回我々はBartholin腺原発の粘液性腺癌症例を経験したのでここに報告する.症例は43歳.約3ヶ月前より自覚する右外陰部の腫瘤感を主訴に来院した.来院時右外陰部に約1×3cmの弾性硬の嚢胞様腫瘤を認め,良性Bartholin嚢胞を疑い開窓術を施行した.このとき嚢胞内部に乳頭状の腫瘍組織を認めたため,一部を生検するにとどめて終了した.このときの病理組織検査結果でmucinous adenocarcinomaとの回答を得た.直後に施行した骨盤MRIでは,膣口右側に直径約1cmの嚢胞状の残存腫瘍像が描出された.腫瘍マーカーの特異的な上昇は認めなかった.以上の所見からBartholin嚢胞原発の粘液腺癌を疑い,残存腫瘍の摘出を目的としてsimple vulvectomyおよび鼠径部リンパ節生検を追加施行した.摘出標本の病理組織所見上,粘液産生性の畏敬円柱上皮の管状,乳頭状配列を認め,断端(−)であった.術後治療は施行せず,現在のところ転移再発兆候は認めていない.電顕および組織化学的検索結果をもとに文献的考察を加え報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
167-167, 2004
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