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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
腫瘍/思春期・更年期・老年期 性器脱手術による改善度の評価
村岡 光恵1), 伊藤 章子1), 梅崎 泉1), 熊谷 万紀子1), 高木 耕一郎1), 太田 博明2)
東京女子医科大学附属第二病院産婦人科1), 東京女子医科大学産婦人科2)
【目的】女性の高齢化や肥満の増加に伴い,性器脱患者数は増加傾向にあり,各種の手術的療法が施行されているが,再発や予後についての報告は少ない.当科にて手術療法を施行した症例に対しアンケート調査により予後を検討した.【対象および方法】平成5年から10年間に当科にて性器脱の手術を受けた144名を対象に質問用紙を郵送し,諸症状の改善度,再発の有無とその時期について質問した.【結果】回収率は47.9%(69/144)であった.性器脱手術は例年当科手術件数全体の約7%を占めていた.主訴(重複あり)は,子宮下垂感47/69例(68.1%),排尿困難,頻尿などの排尿障害39/69例(56.5%),性器出血6/69(8.7%),排便障害5/69例(7.3%)で,性交痛は2例であった.回収例における年齢は69.4±7.3歳,BMIは21.9±11.3,経産回数は平均2.5回.高血圧,糖尿病,高脂血症などの合併症は33/69例(47.8%)に認めた.閉経年齢は56.3±11.3歳,発症年齢は60.4±8.4歳,手術時年齢は64.3±3.1歳で,発症から手術までの期間4.9±3.2年であった.術式は腟式子宮全摘出術+腟壁形成術:60/69例(87%),中央腟閉鎖術2例,その他7例であった.夫は51/69例(73.9%)で健在であった.排尿障害の改善度は,とても改善,改善が28/39例(71.8%),不変7/39(17.9%),やや悪化,悪化4/39(10.3%)とほとんどが改善傾向を示した.排便障害は1/5(20%)で改善傾向を示した.子宮下垂は軽度の例を含め12/69(17.4%)に再発を認めた.排尿障害では,尿失禁の改善なし3例(4.3%),尿失禁の悪化2例(3.2%),術直後から膀胱脱の再発2例(3.2%)であった.【結語】改善度の向上には,肥満の是正などの生活習慣の改善による予防,ならびに泌尿器科との連携による尿路系に対する術式の改良などの検討が望まれる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
169-169, 2004
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