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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
不妊・不育/子宮奇形
挙児希望のために当院を受診したHIV serodiscordant coupleの患者背景と治療成績についての検討


吉田 宏之, 田中 雄大, 岩橋 和裕, 橋場 剛士, 浅田 弘法, 岩田 壮吉, 久慈 直昭, 末岡 浩, 吉村 泰典, 野澤 志朗
慶応義塾大学産婦人科


 (背景)血友病以外のHuman immunodeficiency virus(以下HIV)感染者は,女性ではほぼ横這いであるのに対し,男性ではこの10年で約3倍に増加している.このようなHIV感染男性と,非感染女性が結婚している場合(serodiscordant couple),水平感染のリスクを低減させる方法として洗浄精子を用いた人工授精・体外受精の有用性が報告されている.(目的)血友病患者以外の感染者が実際にこの治療法を希望しているのか,および本法でどの程度運動精子が得られ,妊娠が成立しているかについて検討した.(方法・結果)平成13年から平成16年の間に挙児希望のために当院を受診し,連続密度勾配洗浄法とスイムアップ法により得られた洗浄精子を用いた体外受精を行い,胚移植にまで至ったserodiscordant couple10症例(16周期)のうち,血友病患者は6症例,非血友病患者は4症例であった.8症例は多剤併用療法などの治療を施行中または施行後であった.血友病5症例,非血友病1症例でC型肝炎ウイルス陽性であった.体外受精時の夫の精液所見は6症例で乏精子症もしくは精子無力症であったが,治療の結果全症例で運動精子を獲得することが可能であった.妊娠例は5例(うち1例はchemical abortion)で分娩例は1例,3例が妊娠継続中で妊娠中期に達している.現在妊娠中の症例,分娩後の症例ともに母児のHIV感染を認めていない.(結論)増加しつつある非血友病HIV患者にも挙児の希望があり,また本治療は,高い安全性を確保した上で運動精子を確実に回収でき,妊娠に有効な方法であることが示された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 173-173, 2004


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