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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
不妊・不育/子宮奇形
子宮奇形と絨毛の増殖性


高田 佳世子, 和田 久恵, 竹内 欽哉, 朝比奈 俊彦, 金山 尚裕
浜松医科大学産婦人科


 【目的】子宮奇形は発生途中で左右のミュラー管の癒合不全によって生じる.臨床症状として早流産,頚管無力症などの周産期異常が多い.一方,胎盤の形成は母体血中の酸素濃度に影響されることが知られている.今回我々は子宮奇形と胎盤の重量との関係に着目し,子宮奇形症例における胎盤重量について検討した.【方法】当院および関連病院で出産した子宮奇形55症例を対象とした.またコントロールとして正常子宮を持つ満期分娩525症例を用いた.胎盤の増殖に影響がある妊娠中毒症,糖尿病などは除外している.両群において児体重,胎盤重量,胎盤係数(胎盤重量/児体重×100)を測定した.また絨毛に抗CD34抗体を用いて免疫組織化学染色を行い胎盤発育過程の血管形成についても検討した.【成績】児体重は子宮奇形群(A)2947±392g,コントロール群(B)3037±382g(p=0.2),胎盤重量(A)620±122g,(B)589±102g(p=0.02),胎盤係数(A)22±2,(B)19±3(p=0.0002)であった.また(A)群において絨毛での毛細血管数の増加,間質での毛細血管の占める比率の増加が認められた.【結論】子宮奇形群では正常子宮群に比して胎盤係数が有意に高かった.また絨毛間質での毛細血管の増加が認められた.胎盤の酸素拡散能は毛細血管壁の性状,面積,厚さに関与するが,子宮奇形の場合この酸素拡散能が高いことが示唆された.子宮奇形の胎盤の絨毛の増殖は,慢性的な低酸素状態に反応した結果と考えられる.子宮奇形は,高地居住や心疾患合併妊娠と同様,低酸素血症のモデルと推察された.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 175-175, 2004


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