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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
不妊・不育/子宮奇形 腹腔鏡補助下に診断・治療し得た,非交通性副角を有する単角子宮の一例
山口 昌子, 明楽 重夫, 西 弥生, 黒瀬 圭輔, 品川 寿弥, 渡辺 美千明, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科
副角子宮は子宮奇形の中でも希なタイプの奇形であるが,泌尿器系の異常を合併することがあり,この異常には胎生期の発達過程の障害が関係しているといわれている.今回我々は月経困難を主訴に受診し,子宮・卵管留血腫を伴う副角子宮を認め,さらに同側の尿路系異常を伴った症例を経験したので報告する.症例は14歳,性交歴なし.月経困難を主訴に前医を受診し,経腹超音波検査上,腹腔内に腫瘤陰影が認められるために当科紹介となった.当科において超音波検査・MRI検査を施行したところ,分離した2つの子宮,右子宮腔内の液体貯留像,右付属器部の腫瘤を認めた.さらに,右側の腎臓が確認できず,右側腎の無形成が疑われた.このため,尿路系異常を伴う非対称性子宮奇形,右子宮・卵管留血腫を疑い,診断と治療を行う目的に腹腔鏡補助下手術を施行した.腹腔鏡所見上,左右の子宮は分離しており,右子宮・右卵管は留血腫を呈していた.また,右付属器周囲を中心に広汎に子宮内膜症の所見が認められた.腹腔鏡補助下に右子宮動脈を単離結紮切断後,右副角子宮と卵管を摘出し,さらに内膜症病巣の剥離・焼灼を行って手術を終了した.合併症は認められず,術後経過も良好であった.現在外来にて経過観察中である.本症例では,腹腔鏡補助下に手術を行うことにより,副角子宮の摘出を低侵襲かつ迅速・確実に行うことができ,なおかつ,腹腔鏡による詳細な観察下での子宮内膜症治療が可能であった.本症例は稀な疾患であるが,今後,腹腔鏡手術を積極的に試みてよい疾患であると思われる.以上,若干の文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
176-176, 2004
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