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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
不妊・不育/子宮奇形 子宮奇形と鑑別を要した14歳の嚢胞腺筋症の一例
手塚 真紀, 三浦 紫穂, 水野 嘉朗, 香川 秀之, 西田 正人
国立霞ヶ浦病院産婦人科
症例は14歳7ヶ月の中学3年生.初経10歳,月経周期は28日型で持続は3日間.月経量は少量であったが疼痛強かった.14歳1ヶ月の時点より鎮痛剤服用が必要なほどの疼痛を自覚し,14歳5ヶ月で月経後にも持続する下腹痛を主訴に前医を受診した.経直腸的に超音波検査を行ったところ,子宮内に血液貯留像を認めたため,子宮奇形による子宮留血症を疑いMRI施行.画像上子宮筋層内に血液貯留像を認め,中隔子宮による子宮留血症が疑われ当院紹介となった.初診時,子宮は前屈,正常大で左傾.やや圧痛あり,両側付属器は軟.経直腸超音波検査では,前医と同様左側の子宮筋層内に16×14×20mmの嚢胞を認めた.MRIで血液貯留であることが確認されたため,嚢胞性腺筋症と子宮奇形の可能性を考え,手術を施行した.手術時,麻酔科に内診すると子宮口は単一で,膣中隔は認めなかった.子宮腔に通水用のバルーンカテーテルを挿入.開腹したところ,子宮は正常大で形態も正常であったが,触診にて子宮前壁左側に拇指頭大の硬結が存在した.両側卵巣・卵管は正常であった.インジゴ通水を行い両側卵管より色素流出を認めたため,子宮奇形による子宮留血症を否定し,子宮前壁左側の腫瘤は嚢胞性腺筋症と診断.下平の針状導子を用いてこの部分を周囲筋層から核出した.出血47g,手術時間80分.病理診断では典型的な子宮腺筋症で,中央部が嚢胞性に血腫となっていた.術後経過は順調で,12日目に退院.その後月経は順調に発来,月経痛は消失した.若干の文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
176-176, 2004
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