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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩1 周産期心筋症の4症例についての検討
市川 美和1), 村山 敬彦1), 照井 克生2), 斉藤 正博1), 林 直樹3), 馬場 一憲1), 竹田 省3)
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター母体胎児部門1), 埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター周産期麻酔部門2), 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科3)
妊娠中や産褥期の肺水腫は重症妊娠中毒症例や塩酸リトドリン使用例で多く報告されているが,近年肺水腫を呈した症例の中に拡張型心筋症による左心不全が原因である症例が報告されている.2000年〜2003年までに我々は呼吸器症状や肺水腫,うっ血性心不全の所見から拡張型心筋症と診断された妊産婦を4症例経験したので報告する.〔症例1〕26歳0回経妊0回経産.前医にて妊婦健診.妊娠38週頃より下肢浮腫,蛋白尿,咳嗽時折みられたが妊娠39週5日陣発後自然分娩.その後全身倦怠感,食思不振,顔面浮腫,肝機能異常を認め産褥6日当センターに搬送となった.SpO2 99%と正常であったが胸部x-pで心拡大,肺うっ血像,心臓超音波検査で心拍出量減少,EF22%,拡張期左室径60mm,収縮期左室径55mmと拡張型心筋症による左心不全を呈していた.血液検査では心筋逸脱酵素の上昇,白血球,CRP上昇が見られた.ICU管理にてhANP,PDEIII阻害剤,DOB投与,利尿剤による治療を開始した.徐々に改善し産褥20日目,左心機能はEF33%と改善傾向を示し退院となった.産褥5ヶ月にはEF57%と正常化した.〔症例2〕37歳2回経妊0回経産.妊娠23週より浮腫みられ妊娠30週診断で入院.妊娠32週に呼吸苦あり,肺水腫,胎児仮死で緊急帝切施行.術後ICUで呼吸器管理.心臓超音波検査で左室拡大(Dd/Ds:60/52)とEF25%であった.DOA,フロセミド投与により産褥2ヶ月で退院となる.〔結語〕4症例の経過を呈示し,周産期心筋症の病態及び診断,治療について考察する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
177-177, 2004
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