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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩1
静脈血栓症合併妊娠6例の検討


増田 健太郎, 長田 久夫, 飯塚 美徳, 坂本 理恵, 加来 建志, 山地 沙知, 関谷 宗英
千葉大学付属病院産婦人科


 妊娠中は血液凝固能の亢進や妊娠子宮による静脈系の圧迫などにより,下肢深部静脈血栓症及びそれに起因することの多い肺血栓塞栓症を生じ易い状態にある.肺血栓塞栓症は一旦発症すると極めて重篤であり,欧米においては妊産婦死亡率の1位を占めている.本邦においても近年生活習慣の欧米化などに伴う血栓症発症が急速に増えており,血栓塞栓症による妊産婦死亡率の増加は大きな産科臨床の問題となってきている.当科において最近2年の間に6例の静脈血栓塞栓症合併妊娠を経験した.下肢深部静脈血栓症例は5例,肺血栓塞栓症例は2例,併発症例は2例であった.3例は無事生児を得られ退院後も母児共に経過良好であり,1例は妊娠初期に中絶となり,2例は現在妊娠継続中である.発症時期は妊娠中期に4例,初期に1例,妊娠前1例であった.妊娠及び血栓症治療管理は全て入院管理を行い,中絶を除く5例に経静脈的ヘパリン投与(低分子ヘパリンは3例に使用)を行った.分娩に至った3例中,経膣分娩2例,帝王切開1例であり,下大静脈フィルター挿入は2例に行われた.産後大量出血は1例に認められた.妊娠を終了した4例中3例はワーファリンにて外来治療中であり,1例は下肢より下大静脈まで延びる血栓症のため加療目的にて転院となった.本邦において妊娠中の血栓症治療の基本はヘパリンである.ただ欧米においては低分子ヘパリンの使用頻度が増えており,母体状況によってはワーファリンの使用も考慮される.今回我々の症例を通し得られた結果に考察を加えここに報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 179-179, 2004


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