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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩1 妊娠中にMRV enography(MRV)で下肢深部静脈欠損像を示した3症例の検討
稲川 智子, 深見 武彦, 渋井 庸子, 三並 伸二, 松島 隆, 小西 英喜, 可世木 久幸, 朝倉 啓文, 竹下 俊行
日本医科大学産婦人科
妊娠中は血液凝固能の亢進や線溶系の低下に加え,妊娠子宮の圧迫による静脈血流停滞などにより血栓が作られやすい状態にある.よって深部静脈血栓(DVT)は注意すべき周産期合併症で,我々はその診断にMRVを施行した結果,下肢深部静脈の欠損像を示した3症例を経験したので報告する.(症例1)33歳,1G0P,妊娠21週6日左下肢に疼痛,腫脹,冷感みられDVTの疑いにて入院となる.MRVでは左総〜外腸骨静脈〜左大腿静脈はほとんど描出されなかった.入院後ヘパリンとアスピリンによる抗凝固療法を行い,妊娠26週1日にMRVを再検したところ同部位の静脈描出は非常に良好となった.いったん退院後妊娠37週0日再入院し,分娩誘発をおこない妊娠40週0日に経腟分娩となった.(症例2)35歳,4G2P,29歳時に帝王切開後にDVT発症の既往がある.今回妊娠成立後よりアスピリンによる抗凝固療法をを開始した.特に臨床症状は無く妊娠37週0日に管理入院,MRVを行ったところ左総〜外腸骨静脈〜左大腿静脈の描出不良よりDVTの存在が疑われた.永久的下大静脈フィルターを挿入後妊娠38週0日に帝王切開を施行した.(症例3)37歳,4G3P,妊娠15週頃から右太腿部および会陰部に静脈瘤を認め,妊娠19週には下肢に疼痛が出現したため,アスピリンによる抗凝固療法を始めた.MRVでは,両側の外腸骨静脈描出不良であった.妊娠37週5日に一時的下大静脈フィルターを挿入し分娩誘発,妊娠38週0日に経腟分娩となった.3例とも分娩後肺塞栓徴候はなく分娩後はヘパリンの持続点滴静注の後にワーファリン内服へ変更後退院となった.各症例の経過を示すとともに,妊婦におけるDVTの診断(MRVの有用性)および管理方法について検討する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
180-180, 2004
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