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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩2 妊娠34週,セラチア菌感染に合併した重症呼吸不全の一例
小林 恵美里, 上杉 健哲, 藤田 真紀, 石井 譲
成田赤十字病院産婦人科
近年,自然界に分布する生活環境菌が院内感染症や日和見感染症の起因菌として大きな問題となっている.その一つとしてセラチア菌が挙げられる.院内感染症の中でも,血管留置カテーテルに関連した血流感染(catheter-related blood stream infection)は,短期間に多量の菌が血液中に流入し重篤な臨床症状を呈する.今回,妊娠34週に,セラチア菌血症に起因する重度の呼吸不全を呈するも母児ともに救命し得た症例を経験したので報告する.(症例)37歳,女性.1回経妊1回経産.妊娠初期より,前医にて前置胎盤を指摘.2003年6月23日,妊娠34週1日,性器出血を主訴に前医受診.入院による止血剤点滴治療を開始.6月26日,39℃のspike feverを認め,抗生剤治療施行.6月28日,Spike feverの継続,血小板減少および呼吸不全を認め,当院紹介入院となった.来院時,血圧108/74mmHg,脈拍108/分,呼吸数30/分,体温36.2℃,SpO288%.血液検査では白血球及びCRPの上昇,動脈血ガス分析では重度の呼吸不全を認めた.抗生剤及び酸素投与を開始するも呼吸状態は徐々に増悪し,胎児心拍モニタリング上,non-reassuring fetal statusとなったため,6月30日緊急帝王切開を施行した.術後,人工呼吸管理を含む集中治療により全身状態は改善し,7月16日軽快退院した.入院時の血液培養からSerratia plymuthicaを検出したが,これはヒトへの感染報告例としては極めて稀である.本症例につき,若干の文献的考察を交えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
184-184, 2004
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