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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩2
妊娠36週に疱疹状膿痂疹を発症した1症例


石井 美希子, 宮田 真千子, 岩倉 孝雄, 又吉 國雄
東京医科大学霞ヶ浦病院産婦人科


 疱疹状膿痂疹は膿疱を環状に辺縁に有する紅斑が多発する皮疹を示し,しばしば体の屈曲部に始まる.分娩とともに治癒するが,まれにけいれん・子癇を伴って死亡する,妊娠・ホルモンなどの異常に伴う膿疱性乾癬と定義されている.今回我々は妊娠36週に疱疹状膿痂疹を発症した1症例を経験したので若干の文献的考察を含めて報告する.(症例)31歳,0経妊0経産.既往歴,家族歴に特記事項なし.前日から発症した掻痒感を伴う皮疹を主訴に翌日の妊娠36週4日受診.それまでの外来における妊娠経過観察では特記すべき異常はなかった.来院時,発赤を伴う皮疹が主に腕や腹部に多数認められた.体温37.2℃,WBC 8000/μl,CRP 2.43mg/dl,NSTにて腹緊は認められず,胎児心拍は良好であった.入院後,38.6℃の熱発と皮疹が徐々に全身へ増加してきたため,補液と抗生物質の点滴を施行したが発熱(体温39.1℃),皮疹,血液検査所見(WBC 17900/μl,CRP 17.51mg/dl)の各々が増悪し,さらに胎児心拍の低下もみられたため妊娠36週6日にPGF2αの点滴にて誘発分娩を行った.出生体重3054gの男児をApgar Score1分後2点,5分後6点にて娩出,児は直ちに近医のNICUへ搬送された.分娩後の母体は,産褥1日目体温34.4℃,WBC 16400/μl,CRP 17.68mg/dl,皮疹の掻痒感は徐々に軽快し,痂皮形成と紅褐色の色素沈着を残すようになった.入院中はステロイド軟膏の外用を行い,産褥6日目に退院,1ヶ月後の産褥健診では未だ色素沈着を伴った皮疹の痕跡は認められたが,産褥経過は良好である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 185-185, 2004


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