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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩2
中期中絶後に薬剤性間質性腎炎を発症し人工透析にて救命し得た一例


中山 裕敏, 吉田 正平, 金村 良治, 三宅 勝, 荻野 雅弘
東京警察病院産婦人科


 症例は20歳,0G0P,既往歴,家族歴に特記すべきことなし.今回,平成15年1月中旬を最終月経として妊娠,中絶希望のため受診.平成15年5月20日(妊娠19週2日)ラミナリア桿挿入,セフェム系抗生剤を経口にて投与す.5月21日,熱発認めたためペニシリン系抗生剤の静注に変更し,同日自然陣発にて児娩出す.5月22日,黄疸認めたため採血したところ,T. Bil 5.2(D. Bil 1.7)と強い黄疸を認め,また,RBC 351万,Hb 11.6(網赤血球22‰),AST 210,ALT 64,LDH 1579と溶血が示唆され,BUN 33.0,CRE 1.36と腎不全を認めた.同日午後の再検では,T. Bil 9.7(D. Bil 3.8),AST 393,ALT 131,LDH 1757と増悪していた.薬剤性溶血性貧血の診断の元,直ちにPSL 30mg/dayを開始した.23日より無尿となり,24日,BUN 77.1,Cr 5.51,T. Bil 0.8(D. Bil 0.1)と溶血のピークは過ぎていたが急性腎不全を発症しており,直ちに人工透析を開始した.計7回施行したところ尿量1550ml/dayと改善し,以後利尿期となった.透析離脱後,腎生検を施行した.糸球体病変および血管炎病変は認めず,間質に浮腫と炎症性細胞浸潤,繊維芽細胞浸潤を認め,間質性腎炎の所見を呈していた.また一部尿細管にはヘモグロビン円柱を認め,溶血による腎障害と考えられる所見が得られた.以上より,主に薬剤性間質性腎炎による急性腎不全と診断した.溶血の原因となった薬剤の特定のため,血清中の抗体測定などの精査を行った.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 185-185, 2004


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