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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))
【一般演題】
妊娠・分娩3 治療に苦慮した帝王切開創部妊娠の1例
輿石 太郎1), 木下 二宣1), 齋藤 麻紀2), 大久保 貴司2), 斉藤 正博2), 林 直樹2), 馬場 一憲1), 竹田 省2)
埼玉医科大学総合医療センター総合周産期母子医療センター産科1), 埼玉医科大学総合医療センター産婦人科2)
【緒言】帝王切開創部妊娠は子宮破裂,大量出血の原因となり,早期の診断,治療が重要である.当センターでは,経膣超音波による早期診断により,子宮を温存して妊孕性を保持するため,methotrexate(MTX)の局注,動注,経静脈化学療法,子宮動脈塞栓術を併用する事により血中hCG低下させた後,出血量を少なく経膣的に妊卵除去できた症例を数多く経験してきた.しかし今回,他院で治療され血中hCG低下にもかかわらず経膣的に子宮内容除去できなかった1例を経験したので報告する.【症例】31歳,2経妊1経産.30歳,前置胎盤で帝王切開術を施行した既往あり.前医にて妊娠6週稽留流産の診断で子宮内容除去術を施行したが出血多量で処置不十分なまま中止.術後,出血持続するも退院.その後,気分不快を主訴に当院初診.帝王切開創部妊娠の診断で緊急入院となる.入院時,血中hCG387mIU/m.Methotrexate(MTX)の静注化学療法施行し血中hCGは142mIU/mlに下降.さらに子宮動脈塞栓術施行後,子宮内容除去術施行したが,子宮筋層の菲薄化あり子宮穿孔の可能性考慮し中断.検体摘出少量だが血中hCG24mIU/mに低下したため,術後7日目退院.術後11日目,出血増加し緊急入院.妊卵着床した帝王切開創部には豊富な血流を認めた.開腹子宮筋層縦切開し,壊死組織,瘢痕組織を除去し止血を行い,術後6日目,退院となった.【結語】術前に血中hCGを低下させたにもかかわらず止血が困難であった帝王切開創部妊娠の1例を経験した.帝王切開創部妊娠における管理,治療指針について,この症例を踏まえ,文献的考察を加え再検討する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2)
187-187, 2004
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