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第107回学術集会(平成16年6月20日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩4
巨大な子宮腺筋症を合併し帝王切開が困難であった一例


青木 宏明1), 国東 志郎1), 石塚 康夫1), 松岡 良衛1), 池谷 美樹1), 鶴岡 三知男1), 礒西 成治1), 中林 豊1), 杉田 元1), 木村 英三1), 田中 忠夫2)
東京慈恵会医科大学付属第三病院産婦人科1), 東京慈恵会医科大学産婦人科2)


 子宮腺筋症は内膜組織の子宮筋層内への侵入および周囲筋層の反応増殖により特徴づけられ,35〜40歳に多いとされている.その好発年齢から子宮腺筋症の治療としては必ずしも妊孕性温存を必要としない場合が多い.しかし,近年女性の社会進出により,晩婚化,高齢妊娠が増加する傾向に伴い,子宮腺筋症合併妊娠が増加,その取り扱いが困難な症例が増えてきている.
 症例は38歳女性,0経妊0経産.34歳時より子宮腺筋症,月経困難症に対し鎮痛薬内服にて経過を観察していた.今回,無月経を主訴に外来受診.臍上三横指に達する子宮腺筋症を認めるも経腟超音波診では胎嚢を認めず,経腹超音波診によりようやく子宮底部に胎児エコーを確認し得た.35週時,横隔膜挙上による苦痛を訴えるようになったため,超音波検査,腹部MRI検査により子宮腺筋症病変と胎児ならびに胎盤の付着部位の位置関係を確認,分娩方針を検討した.上腹部の苦しさ,子宮頚部の熟化を認めない(Bishop 0)ため腹式帝王切開を選択した.開腹所見では子宮は当該腺筋症の重量のため縦軸方向に約90°回転,児頭直上には肥厚する子宮円靭帯,うっ滞する卵巣固有靭帯を認め通常の子宮体下部横切開は不可能と判断.これら諸靭帯を剥離の後,子宮左側体下部に横切開を加え,生児を得た.文献的考察をふまえて報告する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(2) 193-193, 2004


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